皆さん、こんにちは。岡山県倉敷市でプラント配管工事・設備配管工事・製缶工事などを手掛けている長塩工業です。
プラント配管でどの材料を選ぶかは、図面の良し悪し以上に稼働率と安全性を左右します。高温の排ガスが通るダクトや海水や塩分を含む洗浄液が流れるライン、薬液を扱うタンクまわりなど、現場ごとに条件は異なります。
したがって、材料選定を間違えると、漏えいや腐食、熱による変形が発生し、停止や作り直しといった無駄なコストが発生しかねません。
今回はお問い合わせの多い「SUS310」と「SUS329J4L」の違いや用途の比較にはじまり、最適な使いどころと、材料の力を引き出す施工の要点について解説。長塩工業の対応力についてもご紹介します。
■知っておきたいのはSUS310は“高温に強い”、SUS329J4Lは“塩に強い”というポイント
◆SUS310―“高温領域”で粘り強いオーステナイト系
SUS310は、高クロム・高ニッケルを含むオーステナイト系ステンレス鋼です。赤熱域に近い温度でも表面に緻密な酸化皮膜をつくり、金属内部を守れることが最大の強みです。温度の上げ下げが繰り返される運用でも、寸法や強度の落ち込みが比較的小さく、計画停止まで安定して稼働を支えます。
・なぜ高温に強いのか?
高温下でも組織が安定しており、必要な強度を維持しやすいこと、そして表面に形成される酸化皮膜が高温ガスによる酸化・腐食から内部を保護するためです。熱サイクルを受けても性能の劣化が緩やかで、加熱炉や焼却炉のような厳しい環境に向きます。
・SUS310の最適な用途
製鉄所の加熱炉や焼却炉のような1000℃前後の高温ガスが発生する環境でも、性能が落ちにくいのが特長です。たとえば熱交換器に採用すると、温度差に伴う応力が繰り返し生じても変形や劣化が少なく、安定的な運転に役立ちます。排ガス処理設備においても、反応温度が高いプロセスで、耐食性と強度の両立が求められる部位に適します。
◆SUS329J4L―“塩や薬品”に強い二相(デュプレックス)系
SUS329J4Lは、フェライトとオーステナイトの2つの組織を持つ二相(デュプレックス)系です。この独特の構造により、一般的なステンレスより高い強度と優れた耐食性を両立します。とくに塩化物が絡む厳しい環境で、穴あきや割れのトラブルを未然に防ぐ力を発揮します。
・なぜ腐食に強いのか?
塩化物イオンが原因となる孔食・隙間腐食・応力腐食割れに対して抵抗性が高いため、腐食に強いのがメリットです。腐食の進行を抑えられるため、配管の寿命を延ばし、メンテナンスコストの面でも有効です。
・SUS329J4Lの最適な用途
たとえば海水淡水化プラントなど、海水を扱う配管では塩分が原因となる腐食トラブルをのリスクを抑えます。
化学プラントでは、硫酸やリン酸など腐食性の薬液を扱うラインで高い安全性が期待できます。
食品・製紙工場における洗浄工程で塩分を含む溶液を扱う工程でも安定した性能を発揮し、衛生的な環境が維持できます。
■まずは「温度」か「塩化物」かを決める
どちらを選ぶべきか迷ったときは、優先課題が高温なのか塩化物・薬品なのかを考えるのが早道です。
温度が重要ならSUS310、腐食がポイントならSUS329J4Lが候補になります。もちろん、実際の設備では最高温度だけでなく、熱サイクルの幅と頻度、流速や滞留、pHや酸化・還元性、洗浄などの観点、異なる材料との接合条件などが絡み合います。
長塩工業では、これらの条件をヒアリングし、材料単体ではなく「運用を含めた寿命設計」として最適解を提示します。たとえば高温ダクトでは配管ルートと膨張の逃げを先に決め、海水ラインでは初期の点食を抑える仕上げと保全計画をセットでご提案します。
◆正しく選んだ材料の性能を最大限発揮するのは、豊富な経験と施工力
材料の選定はあくまで出発点で、その性能を発揮できるかどうかは、施工力で決まります。SUS310とSUS329J4Lは、その特性ゆえに施工上の注意点が異なります。長塩工業は、入熱管理・層間温度・仕上げ処理・据付条件までを設計段階から織り込み、材料の力を確実に現場で引き出す段取りを組みます。
◆SUS310の施工上のポイント
・熱膨張による歪み・割れ
高ニッケル系で熱膨張が大きく、溶接後の歪みや微小割れが生じやすい傾向があります。入熱量と溶接順序、拘束条件、膨張の逃げを含めた溶接・据付シーケンスを丁寧に組むことでリスクを回避します。
・高温スケール対策
高温用途が前提のため、施工後の酸化皮膜やスケールを酸洗・不動態化で整えることが不可欠です。仕上げを怠ると初期腐食のリスクが残り、性能を損なってしまいます。
◆SUS329J4Lの施工上のポイント
・複雑な溶接組織管理
二相材は溶接熱履歴でフェライト/オーステナイトの比率が崩れると性能が低下します。入熱・冷却・層間温度の“適正窓”を守り、必要に応じて組織確認まで行います。
・溶接熱影響部(HAZ)の脆化
高温域に長時間滞在すると、σ相(シグマ相)などの脆い相が析出して、強度・耐食性が落ちることがあります。短時間・適正入熱を前提に、熱履歴を最小化する手順で対処します。
・適切な溶接棒の選定
二相系専用の溶加材を選び、規定条件を守って作業することが不可欠です。溶接部分にも元の材料の特性が生きるような配慮と技術が必要です。
■長塩工業が誇る匠の技と、当社ならではの強みを紹介
最適な材料が決まっても、正しく製作できなければ意味がありません。岡山県倉敷市を拠点とする長塩工業が多くのクライアントから選ばれる理由を紹介します。
魅力1:一貫対応が可能にする、ぶれない高品質
設計・製作・加工・施工・管理・保全まで自社一貫で対応。工程間の情報が途切れず、手戻りの原因を根本から断ちます。現場標準の手順と検査で、品質のばらつきを徹底的に抑えます。
魅力2:特殊合金にも対応する、確かな技術力
「きれいな現場から、きれいな製品を」という代表の信念のもと、SUS310やSUS329J4Lを含む特殊合金の加工・溶接にも対応。特定建設業許可に裏打ちされた体制で、難度の高い配管や高度な要求にも応えます。港湾設備や大手飲料メーカー案件など、高温×強腐食×衛生要件が厳しい現場でも実績があります。
魅力3:お客様に寄り添う、真摯な仕事への取り組み
実直に技術と仕事の丁寧さで、こつこつと信頼を積み上げてきました。小さな懸念も遠慮なくご相談ください。検討されている内容の背景から運用まで踏み込んで、ライフサイクルとして効果的なご提案をいたします。
長塩工業が、あなたのプラント配管の未来を創ります
プラント配管は、一度施工すると長期にわたって稼働する重要設備です。目先の安さだけでなく、技術・品質・信頼性で選ぶことが、停止リスクの回避と総コスト低減につながります。長塩工業は、SUS310やSUS329J4Lの選定から安全で高品質な施工まで、一気通貫で対応します。まずはご要望や条件をお聞かせください。
◆長塩工業の強みは、豊富な施工経験と確かな技術、適正価格にあり
岡山県倉敷市を拠点に、設計・製作・加工・据付・管理・保全までを一気通貫で手掛ける長塩工業は、ステンレス専用工場も新設し、粉じんや鉄粉の交差汚染を避けた環境で製作しています。
現場ではベテランと若手のチーム体制で作業し、各工程での複数段階チェックを標準化。戻りを出さない品質管理で、納期の読みやすさと安定した仕上がりを両立しています。施工事例には、精度と清浄度が求められるユニット製作の実績もございます。
大手飲料メーカーさまとのお取引もあるほど、技術力とサービス力には定評があります。対応できる業者が限られるような特別なスキルが求められる案件もお任せください。
大手プラント配管業者と比較して、適正価格の施工と高品質なサービスを提供しているところも長塩工業の強みです。
ミスのない作業環境の構築や高品質施工を意識しているのも、当社の大きな特徴です。
材料の取り間違いなど基本的なミスが発生しないよう、作業場の整理整頓には余念がありません。類似物は近くに置かないなど、日々の作業環境づくりからも高い意識をもっています。
「きれいな作業場でしか、きれいな製作物はつくれない」というのが代表の理念。社員一人ひとりがそのモットーを徹底し、誠実に高品質なものづくりに向き合っています。
設備配管の施工を依頼したい方、プラント配管に関するお悩みをお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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